2022年に映画化された「ラーゲリより愛を込めて」。
この映画は、戦後にシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の男性、山本幡男さんの仲間とのやりとりや家族への想いが描かれており、また戦争の悲劇と希望が描かれているヒューマン映画でもあります。
そして、この映画で主人公・山本幡男さんを演じた二宮和也さんは熱演が評価され、第46回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞しました。
そんな映画『ラーゲリより愛を込めて』ですが、放送後ネット上では「どこまで実話なの?」「遺書やクロは実在するの?」と話題になりました。
そこでこの記事では、映画『ラーゲリより愛を込めて』はどこまでが実話なのか?また、主人公・山本幡男のどんな物語が描かれているのかについてまとめてみました。

ネタバレも含んでいますので、まだ観ていないという方はご注意くださいね!
映画「ラーゲリより愛を込めて」はどこまで実話?全貌を徹底解説
では早速、映画「ラーゲリより愛を込めて」はどこまでが実話なのか?について、徹底解説していきます。
作品のあらすじ
『ラーゲリより愛を込めて』は、辺見じゅん氏のノンフィクション『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』を原作とする2022年に公開された映画です。
監督は瀬々敬久氏、主演は二宮和也さん。
第二次世界大戦後、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の人物・山本幡男氏がモデルとなっています。
物語は、極寒と飢えの中でも希望を捨てず仲間を励ます主人公と、家族への想いを託す「遺書リレー」が描かれています。


映画と実話の違い
映画『ラーゲリより愛を込めて』は原作の事実に基づきつつも、物語性を高めるための演出や追加エピソードがあります。
例えば、主人公・山本幡男と妻・モジミとの出会いや再会の場面は、原作よりもドラマチックに描かれています。
また、仲間たちとのやり取りや収容所での出来事も、実話を元にしながら感情移入しやすい形に脚色されています。
一方で、犬のクロや氷海に飛び込むエピソードなど、史実として記録に残る場面も忠実に再現されています。
「ラーゲリより愛を込めて」という映画、Amazonプライムに来てたので観ましたが、この映画はヤバかった
— 🌈takashi sawaki🌈 (@takashisawaki) May 31, 2024
シベリア抑留の話で実話を元に作られた映画だけど、日本人達に飼われていたクロという犬が、彼らを追いかけて何と流氷の海に飛び込む話まで実話
この写真は本当のクロの写真だそうです pic.twitter.com/1EcAQgi257
実話としての信憑性は?
山本幡男氏の存在やラーゲリでの生活、遺書が仲間の協力で家族に届けられた経緯は、複数の証言と資料によって裏付けされています。
辺見じゅん氏の原作は、生存者や関係者への取材をもとにしており、高い信憑性を持ちます。
ただ、映画はあくまでエンターテインメント作品としての側面もあるため、全てが事実というわけではありません。
観客の心に深く訴えかけるよう創作部分が巧みに構成されています。
映画『ラーゲリより愛を込めて』全体としては、事実とフィクションが融合した「心揺さぶる実話映画」といえるでしょう。
モデルとなった山本幡男とはどんな人物だった?
映画『ラーゲリより愛を込めて』のモデルとなった主人公・山本幡男とは、実際どんな人物だったのでしょうか?
ここからは、山本幡男氏について見ていきましょう!
山本幡男について
山本幡男とは、第二次世界大戦後にシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の人物です。


終戦後、帰国を夢見ていた山本幡男は、極寒と飢えの中でも仲間を励まし続けたのです。
彼は、病気で衰弱していく中でも希望を失わず、仲間や家族への思いやりを持ち続けた人物として知られています。
その人柄は、多くの抑留者にとって精神的支えとなり、仲間に生き延びる力を与えたのです。
有名な感動エピソード
映画『ラーゲリより愛を込めて』の感動的なエピソードがあります。
それが、山本幡男の物語で有名な「遺書リレー」です。
死期を悟った山本幡男が、愛する妻・モジミと子どもたち、そして母親に宛てた遺書を仲間に託します。
仲間たちは収容所内で暗記し、釈放される順に言葉を伝え合い、日本までその想いを運んだのです。
この遺書は、山本幡男の深い家族愛と仲間たちの絆の象徴として、多くの人々が心を打たれました。
また、実話として犬のクロとの交流や、氷海に飛び込むエピソードなどが残されています。
それほど、山本幡男は人間性と仲間を守る強さがあったと言われているのです。
映画『ラーゲリより愛を込めて』は、これらの場面が感動的に再現され、多くの視聴者が涙しました。
シベリア抑留とはどんな環境下だったの?
この映画のモデルとなるシベリア抑留とはどんな環境だったのでしょうか?



シベリア抑留について解説して行きます!
シベリア抑留とは?実態は超過酷!
シベリア抑留とは、終戦直後から約11年間にわたり、60万人以上の日本人が旧ソ連の各地の収容所で強制労働を強いられたのです。
極寒の気候、劣悪な食糧事情、過酷な労働環境により、多くの抑留者が命を落としました。
ラーゲリというところでは、単なる労働施設ではなく、生存そのものが試練となる過酷な場所だったのです。
抑留者たちは氷点下30度を下回る寒さの中で作業を行い、十分な医療も受けられず、病や飢えと常に隣り合わせだったのです。
映画「ラーゲリより愛を込めて」のテーマを解説!
「希望」を持つことの意味
本作において「希望」は、生きる意志そのものを象徴しています。
極寒の地でのシベリア抑留という絶望的な状況下でも、山本幡男は決して希望を失いませんでした。
帰国の日を信じ、家族への思いを支えに、苦境の中でも前向きな言葉を周囲に投げかけ続ける姿は、観る者にも深い感動を与えました。
希望を持つという行為は単なる楽観ではなく、「生きる選択」であり、「周囲に希望を分け与える力」でもあります。
どんな環境にあっても心の持ち方次第で未来を変えられるという強いメッセージが伝えています。
仲間との絆とその重要性
シベリア収容所での日々は、孤独と過酷さに満ちていますが、そんな中での「仲間との絆」は命綱となります。
山本幡男は自らの苦しみを抑え、常に他者を励まし続けます。
病に倒れた仲間を看病し、支え合いながら日々を乗り越えていく姿は、絆の力をまざまざと感じさせられます。
最も象徴的なのが先ほどもお伝えしました「遺書リレー」です。
彼の遺志を仲間たちがリレー形式で暗記・伝達し、日本の家族に届けたという実話は、人と人との信頼と連帯の奇跡を表しています。
生き延びる上で、孤独ではなく共にあることの尊さが描かれています。
裏切りと信頼の交錯
極限状態の中では、人間の本性が露わになります。
映画では、仲間内での対立や密告、利己的な行動など「裏切り」の側面も描かれています。
しかし、そうした裏切りに直面してもなお、山本幡男は人を信じる心を捨てません。
彼の姿勢は、相手を疑うことよりも、信じ続けることにこそ人間の尊厳があるという価値観を体現しているのです。
裏切りと信頼は対立する概念でありながら、両者が常に交錯する中で、人がどう生きるべきかを問いかけるのが本作のもう一つのテーマです。
筆者も「自分ならどうするか」と深く考えさせられました。
それほど、この映画にはテーマがあり、戦争についてはもちろんのこと、家族、希望、仲間など色々なことを考えさせられました。
映画「ラーゲリより愛を込めて」の概要とあらすじ
原作 | 収容所(ラーゲリ)から来た遺書 著:辺見じゅん |
公開日 | 2022年12月9日 |
上映時間 | 133分 |
ジャンル | 戦争、歴史を元にした実話映画 |
監督・脚本 | 瀬々敬久 |
キャスト | 二宮和也 北川景子 松坂桃李 中島健人 寺尾聰 桐谷健太 安田顕 |
まとめ
今回は、映画『ラーゲリより愛を込めて』はどこまでが実話なのか?また、主人公・山本幡男とは人物だったのか?映画と実話の違いなどを解説して行きました。
実在の人物やエピソードを忠実に再現しつつ、映画としての感動を高めるための創作が加えられた作品です。
筆者も俳優としての二宮和也さんの演技力の高さに驚かされました!
まさに、事実と演出が絶妙に交差する“感動実話”と言えるでしょう。是非、観る価値のある作品ですよ。